実験 4: 原子スペクトル―水素原子の発光スペクトル

この実験では水銀と水素の2種類の放電管から出る光を利用して、原子の電子配置に由来する量子論的な現象の観察と確認をします。原子の内部で電子は飛び飛びのエネルギー準位をとり、その値は原子の種類によって固有です。このため原子を励起して外部に出てくる光の波長を定量的に観察することで原子の内部構造を測定することができます。こうした実験では光を波長ごとに分けて観察すること(分光)が重要で、この目的で分光器が広く使われています。

Point 1光源と分光器の全体像

向かって左側の白い箱に水銀と水素の光源が入っています。その右側の円盤の上に筒が2つのっている装置が分光計です。実際に測定を行う場合は外部の光が邪魔をしないように暗幕で装置全体を覆った状態にします。分光器は非常に精密にできているので、丁寧に扱い、調整用のネジは少しずつ回して様子を見ます。

Point 1回折格子と分光された太陽光

左側の黒い門のような部品についているガラス板が回折格子です。回折格子の表面には非常に細かい溝が整然と彫ってあり、この作用で分光します。太陽光はほぼ連続スペクトルなので、分光するときれいな虹のような模様が観察できますが、この実験では原子からの発光を分光するため、これとは大幅に異なるスペクトルが得られます。

Point 3水銀放電管と水素放電管

白く発光しているのが水銀放電管で、基本的には水銀ランプと同様のものです。赤く発光しているのが水素放電管でガラス管の中に低圧の水素が封入してあります。2種類で色がかなり異なりますが、光を分光器で定量的に測定し、原子の内部構造と照らし合わせることでこの理由を原理から理解することができます。

Point 4分光器の水平調整

黒い円盤の上に乗っているのが水準器で、分光器の水平を調整するために教員・TAが持っています。通常の測定環境で光は必ず直進するため、分光器の垂直・水平をきちんと調整することは正確な測定をする上で非常に重要です。教科書の手順で問題なく調整できますが、どうしても調整に困った場合は声をかけてみてください。