実験 10,11,12: 無機陽イオンの定性分析I, II, III

「無機陽イオンの定性分析」では、多様な試薬や指示薬を用い、水溶液中に含まれる金属イオンを系統的に分離、確認していきます。実験10、11で基本操作の手順と系統分析に関わる原理を学んだうえで、実験12で実際に未知試料の分析を行います。この実験には、単に検出できる/できないという目先の結果のみならず、無機化学・分析化学に関する基本的かつ重要な考え方が凝縮されています。個々の実験操作の意味とその裏に隠されている原理を正しく理解するようにしましょう。

Point 1沪過の操作

この実験では半微量法という方法で系統分析を行います。半微量法では、通常の沪紙や漏斗は用いないで、脱脂綿、加圧バルブと沪過管を用いて、沪過を行います。脱脂綿の詰め方、加圧バルブの押し方などコツがあるので、教科書の記述に合わせ、動画を見て予習しましょう。

Point 2湯浴の操作

溶液を加熱する時は、湯浴を行います。あまり激しく沸騰させても100 ℃以上には上がらないので、穏やかな沸騰を維持しましょう。また沪過時に加熱が必要な時も、湯浴中で行います。

Point 3溶液の濃縮、蒸発乾固の操作

溶液を濃縮する際には、より強く加熱しなくてはなりません。溶液を蒸発管に移し、試験管ばさみで蒸発管を持って、セラミックス付き金網上で突沸しないよう注意しながら加熱していきます。溶液を蒸発乾固する場合も同様です。

Point 4色鮮やかな沈殿物の様子

この実験では、色鮮やかな溶液や沈殿物が見られます。形状や色などに対する、人の感覚を最大限にはたらかせて、実験を楽しんでください。