実験 7: 酸解離定数の決定

化学反応の理解には反応速度に加えて化学平衡の考え方も重要です。物質の酸性・塩基性という性質は、水溶液中で分子からH+が解離する反応の化学平衡によって理解できます。 実験7では2種の安息香酸置換体の酸解離定数(pKa)を分光光度法によって決定します。酸解離平衡の移動に伴う吸収スペクトルの変化を利用して酸解離定数を求めます。酸解離定数の比較からベンゼン環の置換基の種類が酸の強さに及ぼす影響を定量的に理解することが目的です。

Point 1安息香酸置換体の測定試料の調製

まず0.06 M硫酸、0.125 M水酸化ナトリウム水溶液、および2種類の緩衝液を調製します。引き続いてp-ニトロ安息香酸を5 mLずつ3つの25 mLメスフラスコに量り取ります。それぞれ0.06 M硫酸、0.125 M水酸化ナトリウム水溶液、および緩衝液によって定容します。調製を誤ると等吸収点が観測されないので、調製操作は慎重に行いましょう。 同様にp-メトキシ安息香酸についても準備します。用いる緩衝液を間違えないようにしましょう。